◆幻想曲 ヘ短調(Fantasie f-mol) D 940 Op.103 / フランツ・シューベルト(Franz Peter Schubert/1797–1828)
この連弾曲は、1828年4月に作曲された。
シューベルトが11月に最期を迎えるほんの半年ほど前のことである。
彼の晩年の作品群の中で、そして数多い連弾曲の中で、一際高い音楽性をもつ傑作である。
彼がピアノを教えながら、身分差のために叶わぬ片想いをしていた、エステルハージ伯爵家の下の娘、カロリーネに献呈された。
◆シューベルト晩年の音楽世界
単一楽章である「幻想曲 ヘ短調 D940 (1828)」だが、その内容は、『さすらい人幻想曲 D 760 (1822)』や「ヴァイオリンのための幻想曲 D 934 (1827)」等と同様に、切れ目なく続く4楽章で構成されている。
終楽章にあたる箇所で展開される巨大で自由なフーガは、不協和音にゲネラルパウゼ(休止)が続く、破壊的ともいえるクライマックスのあと、冒頭のテーマに回帰する。
また、彼が1828年11月にその生涯をとじなければ、友人とともにジーモン・ゼヒターのもとで深く学ぶはずだった、対位法的書法が散見される。
晩年の作品群によくみられる特徴でもある。
彼があと少し長く生きていれば、どのような音楽世界がうまれていたのだろうか。
◆ピアノ連弾による演奏(YouTube引用)
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